8年前、京都で開催された学会で、「多くの慢性心房細動がアブレーション治療で治る」と高橋部長と共に報告しました。フロアからは批判の嵐。「慢性心房細動患者さんの様に、動悸の自覚症状が強くない人にアブレーション治療をして何の意味がある!」まさに袋だたき。
私達はその当時、慢性心房細動患者さんでは、たとえ動悸症状が強くなくても、アブレーション治療で正常の脈に戻すことにより、その後の脳梗塞の予防効果があるはずだという強い信念を持って、アブレーション治療を続けていました。しかし、世間は許しません。まるで我々のことを犯罪者扱いです。
時が流れて、私達の仮説が正しいという報告を発表し、また海外からも同様の報告が発表され始めると、世の中は一変します。
当時、皆の先頭をきって私達に食ってかかってきた先生方が、今や学会で慢性心房細動はアブレーション治療の良い適応だと公言してはばかりません。「慢性心房細動」たとえ症状がなくても、アブレーション治療を実施することで、脳梗塞を予防し、心機能低下を防ぐ可能性があります。しかし、すべての慢性心房細動患者さんがアブレーション治療の良い適応とは言えません。お悩みの患者さんは、当院へ一度ご相談にお越しください。
黒棒は心房細動があり、薬物治療を続けた患者さん、グレーの棒が心房細動があり、アブレーション治療を受けた患者さん、白棒が心房細動を認めない正常の脈の患者さんです。Stroke(脳梗塞)、Death(死亡)の発症率は、薬物治療を続けた患者さんより、アブレーション治療を受けた患者さんで、圧倒的に少なくなっています。 |