2014年1月3日金曜日

非肺静脈由来の心房細動起源の治療 ちょっとマニアックな話題です

このブログは、カテーテルアブレーションの実際を一般の人にも分かりやすいようにと、専門用語を可能な限り排除して、平易な言葉で書いているつもりです。そのために、理解が容易で、同業の人達にも好評です。そこで、今日は多少マニアックですが、その方々からリクエストのあった非肺静脈由来(肺静脈以外の部位に由来する)の心房細動起源の治療の仕方についてご説明いたします。

まずは、イソプロテレノールとい薬を用い、心房細動を誘発します。そして、まさに心房細動が発症した瞬間に記録できた電気興奮から、それがどこから発生して来るかというのを推測します。その対象となる心房細動起源の電位の特徴は、1)他の部位に比較し、著しく早期に興奮する、2)局所電位高が小さい、3)その興奮初期において、他の電位より短い間隔で興奮するです。この特徴を有した電位を捕捉するコツは1)非肺静脈由来の心房細動起源の好発部位にマッピングカテーテルを、予め置いておく、2)記録された電気興奮の中に、起源とおぼしき電位がない場合は、心房内に置いたカテーテル電極の興奮順序、パターンより、最早期興奮部位(心房細動起源)を推測することです。

実際には1回の心房細動の誘発でその起源が分かることは稀です。不明であれば、電気ショックで一旦心房細動を停止させて、上記行為を繰り返さなければなりません。そして、探しだした心房細動起源の一例が下図の矢印で示す電位です。この様なところに、アブレーションカテーテルを持って行き、高周波通電することで、心房細動起源を各個撃破するのです。


この様な手技は、熟練を要するものです。実際のターゲットは下図に示す様に、つい見逃してしまうような極めて小さい電位です。そのために、注意深い観察が必要です。

赤い矢印の部分が非肺静脈由来の心房細動起源です。余りにも小さい電位なので、つい見逃していしまいそうです。

1 件のコメント:

  1.  桑原先生
     はじめまして sakurasouです。59歳女性です。
     2010年から2012年にかけて3回カテーテルアブレーションをうけました。
     負荷をかけると心房全体から電気がでるそうです。焼けるだけ焼いて、心房にラインを入れているそうです。
     最近は2か月に1度くらいの割合で心房細動がでます。疲れすぎたり、冷えるとでるようです。今年の5月にカテーテルアブレーションをしていただいた病院の定期検診の折、不整脈の薬をやめていきますかと聞かれました。私としては、今くらいの割合で心房細動が出るなら状況を換えたくないので、不整脈の薬を服用したいと答えました。私のように、心房細動起源が残っている患者さんはどのような治療を受けているのかお聞きしたいと思いコメントを書かせていただきました。いずれは慢性心房細動になるかと思いますが、薬が効いている間は服用したいと思っています。ベプリコール、メインテート、ノルバスク、シンバスタチンを服用しています。
     大変失礼かと思いましたが、コメントを投稿させていただきました。
     何回か先生のブログを拝見していました。いろんな病院に出かけ手術をされるバイタリティーあふれる先生だなと思っていました。心房細動とどう付き合っていくか、私のような人がいないかなと検索していて先生のこのページにたどり着きました。

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