2014年12月30日火曜日

台湾講演

台湾に行って来ました。日本ライフライン株式会社の「BeeAT」という除細動機能付きのマッピングカテーテルの宣伝を兼ねた講演です。この製品の日本での治験を担当し、日本国内の承認を得る際に、厚生労働省に足を運んで、この製品の良さを説明した経緯から、私が台湾に伺いました。心房細動アブレーション時には、心房細動を止めるために、何回も電気的除細動が必要ですが、この製品は心臓の中で機能するために、低いエネルギーで除細動が可能であり、心臓への負担が少なくとても良いカテーテルです。

会場には台湾の医師が20名ほど集まっていました。このカテーテルを用いて心房細動アブレーションを実施することで、治療成績が向上したという私の研究を発表しました。みなさん純粋で、優秀で、情熱的な医師ばかりであり、発表の後は、沢山の質問を受けました。彼らの英語の能力は極めて高く、台湾の医学教育水準の高さが容易に想像できました。
 
講演後の、懇親会で、台湾の「国の事情」を話してくれました。「台湾は国際的に国として認められていない。だから、医師である我々が必死に頑張って良い研究をして、国際的に貢献し、世界に認めてもらいたい」と。

仕事のモチベーションが違うのです。「国のために研究する」という。涙が出そうになりました。それに比べて、我々日本人は何と恵まれた環境にいることか。ぬるま湯に浸かっているようなもの。今より更に、研鑽して不整脈研究を続け、多くの人が喜んでくれる仕事をしなければならないと、決意をあらたにしました。
千と千尋の神隠しの湯婆婆の屋敷のモデルになった
「九份」の
「阿妹茶酒館」に行ってきました。
 

よつば循環器科クリニック

四国、松山は私の故郷です。松山空港から市内に至る、緑の多い幹線通り沿いに、「よつば循環器科クリニック」という19床のクリニックがあります。私が研修医の頃に厳しく指導して頂いた阿部充伯先生が院長で、彼は心臓血管治療分野において、国内屈指のドクターです。

ここは全国でも珍しく、循環器内科と心臓血管外科を兼ね備えたクリニックです。通常19床以下のクリニックでは、設備投資が莫大にかかる心臓血管外科までは、手が回らないのが実情です。しかし、このクリニックでは非常に優れた横山雄一郎心臓外科医師が常駐しており、彼の師匠の佐藤 晴瑞先生とともに、心臓手術を積極的にこなされています。

実は、私は、院長の阿部先生に呼ばれて、このクリニックに、1~2ヶ月に1度、カテーテルアブレーション治療を実施しに来ているのです。この度12月に、これまた採算を度外視して最先端の不整脈治療が行える「カルト3」という器械を購入して頂きました。このクリニックには、麻酔科医もいますので、アブレーション治療を全身麻酔で行えます。麻酔科医が行う全身麻酔は、筋弛緩剤を使用しますので、術中に患者さんの体動が完全に収まり、アブレーション治療が非常にやりやすくなり、成功率の上昇や、合併症の低減が見込めるのです。勿論、患者さんにとっても楽な治療になります。また、アブレーション中は、心臓外科医が横に待機して頂いていますので、心外膜アプローチという、心臓の外側から実施する、侵襲度の高い不整脈治療をすることも可能なのです。

小さいクリニックですが、通常の循環器治療はもちろんのこと、不整脈治療に関しては、このクリニックでほぼなんでも実施可能です。近隣で不整脈でお困りの方は、ご相談されてみてください。

そぼ降る雨の日のよつば循環器科クリニック正面玄関です。

2014年12月28日日曜日

入院費概算

このブログでも紹介していますが、カテーテルアブレーション治療や、植え込み型ペースメーカー、除細動器治療の領域には、次々に新しい技術が導入されています。

以前は、ペースメーカーや、除細動器を一旦植え込むと、その患者さんはその後、MRI検査は受けられなくなっていましたが、最近では、MRI検査対応の機器が普通になってきました。企業が心血を注いて、より良いものを作り上げいるのだと思います。研究費用も莫大になっているのでしょう。

故に、一般に、新しい医療機器は高額になってしまいます。当院で実施しているカテーテルアブレーション治療や、ペースメーカー植え込み術にかかる医療費を下に示します。

多くの場合、高額療養費制度が適応されます。そのため、患者さんの実質的な負担は10~20万円ですが、それ以外は、国が負担しており、膨大な医療費の原因となっています。病院はできるだけ医療費を低く抑えるように、自助努力はしていますが、質の高い医療を提供するためには、どうしても高額な医療材料を購入せざるを得ない場合もあります。頭の痛い問題です。


高額療養費制度については、厚労省のホームページで、詳しく説明されています。