基本的な原理はクライオバルーンと同様で、心房細動起源の巣窟である肺静脈隔離を行います。クライオバルーンには液体窒素を入れますが、ホットバルーンは、造影剤と生理食塩水を入れて、それを温めて使用します。バルーンの温度は約80℃に上昇し、接触した心筋が温熱壊死します。
日本で行われた治験では、発作性心房細動患者さんに対して、ホットバルーンアブレーションを行うと、手術250日後に、心房細動が再発せず、正常脈拍を維持できる人は約60%です。主な合併症は肺静脈狭窄で、5%の患者さんに発症しています。クライオバルーンの肺静脈狭窄の頻度は、これより少ないのですが、横隔膜麻痺はクライオバルーンアブレーションの方が多くなります。
なお、クライオバルーンは大きさが一定ですが、ホットバルーンは入れる液体の量とバルーンを押す力により、大きさを自由に変形させることができます。肺静脈の直径や形は、個人により様々ですので、これは、ホットバルーンの優れた点です。この優越点を十分に活用すると、肺静脈隔離以外に、左心房の後壁も治療できる可能性があります。左心房の後壁は、心房細動起源が多く存在する場所です。将来性のある、治療機器です。
ホットバルーンの利点は、バルーンの形を自由に変えることが出来ることです。上の写真は、ホットバルーンの形を変えて、左心房の後壁を隔離している様子です。 出典 J Cardiovasc Electrophysiol. 2015;12:1298-306 |
私自身PAFがありますのでいつも興味深く拝見しております。肺静脈狭窄が5%、横隔膜神経麻痺が数%なら高周波治療のほうが安全性が高いように思えますが・・・。最近の日本でのクライオバルーン(2世代目)の市販後調査では6か月後の発作なしが88%、横隔膜神経麻痺1.5%、肺静脈狭窄??
返信削除患者にとってはどちらが良いか迷います。遠方ですが受診させて頂いた折にはよろしくお願い致します。