2012年4月24日火曜日

ワルファリン

ワルファリンという薬があります。
心房細動患者さんにとってはとても重要な薬で、血液が凝固するのを抑制し、脳梗塞を予防してくれます。しかし、その効果が故に、血が止まりにくくなり、出血しやすいという副作用も持ち合わせています。

そのため当院では以前は、アブレーションによる出血性合併症のリスクを少なくするために、心房細動のカテーテルアブレーションを行う前に、一旦ワルファリンを中止していました。

しかし、現在ではワルファリンを内服したままアブレーションを実施しています。その方が手術中の脳梗塞の合併を、極めて低くするこができると判明したからです(1)。しかも、ワルファリンの効果を中和しくれる注射も開発され、万が一出血性の合併症が起きたとしても、すぐに出血も止めることができます。これで最近では脳梗塞の合併をあまり心配せずに、治療することが可能となりました。ワルファリンに感謝、感謝です。

ところでこのワルファリン。元をたどればシナガワハギなどのスイートクローバーから精製されたものだそうです。このスイートクローバーを家畜に食べさせたところ、出血がとまらなくなり、その原因を研究している際に、抗凝血作用を有するジクロマールという物質が判明し、ワルファリンはそれをもとに合成されました。

スイートクローバーの花(ウイキペディアより)
参考文献 (1)Kuwahara T, et al. J Cardiovasc Electrophysiol. 2013 May;24(5):510-5

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