結果は両者とも治療成績は同じでした。発作性心房細動患者にアブレーションを実施し、1年後に洞調律(正常の脈拍)を維持出来た人は、どちらの方法を用いても65%です(下グラフ)。
「65%とは低い成功率」だと思われるかもしれません。
これは、どちらの治療方法を用いようが、肺静脈隔離術しか行っていないからだと思われます。よってこの試験は、2つの治療方法の「心房細動の治療効果」を比較するのではなく、「肺静脈隔離ができたかどうか」を比較する試験と言えます。
心房細動の85%は、肺静脈から起こりますが、15%は肺静脈以外のところからも発生します。後者の患者さんは、そこを治療(各個撃破)しないと、心房細動は治りません。これは、高周波カテーテルアブレーションを使用しないと出来ません。
この各個撃破の治療を行うには、相応の技術が必要です。故に、技量の高い術者が施行するならば、高周波カテーテルアブレーションを使用した方が、心房細動の治癒率は高いと思います。
それと、患者さんには関係のないことかもしれませんが、クライオバルーンアブレーションばかりしていると、後継者が育ちません。高周波カテーテルを用いて、肺静脈隔離術ができないような医師が、肺静脈以外の心房細動起源を治療できるとは思えません。
縦軸は心房細動が再発した人の割合、横軸はアブレーション後の日数です。RFCが高周波カテーテルアブレーションのことで、Cryoballoonとはクライオバルーのことです。
参考文献N Engl J Med 2016; 374:2235-2245