カテーテルアブレーションの際は、太ももの太い静脈(大腿静脈)を通してカテーテルを心臓に持っていかなければなりません。その際、そこに直径3mm弱の穴が2、3箇所開いてしまいます。アブレーションが終わった後は、この穴を圧迫止血しますが、止血が完了するまでの6〜8時間、患者さんはベッド上で仰向けになったまま安静にしていなければなりませんでした。
この6〜8時間が辛い。同じ体勢でじっとしていると腰が痛くなります。腰に湿布を貼ったり、痛み止めを注射したりと色々な方法で対応してきました。私は今までアブレーション治療にまつわる諸問題、主に患者さんにとって苦痛なことを様々な工夫で解決してきました。しかし、この術後の安静時間だけは、止血という生体の自然な反応の結果を待たなければならないので、どうてしも短縮することが出来なかったのです。
しかし、解決方法があったのです。画期的な方法です。その名もZ縫合。太もものカテーテルを挿入した静脈の皮膚の部分をZ型に縫合すると圧迫止血が不要になるという研究報告が出たのです。当院でもこの方法を利用し、今では術後の安静時間が3時間に短縮され、5時間後にはベッド上フリー(ベッド上にいるならばどういう体勢を取っても良い)にまでなるようになりました。Z縫合がアブレーション治療の「長時間の安静時間」という問題の最後の切り札になってくると思います。
マジンガーZとZ縫合 参考文献
Europace (2016) 18, 1545–1550
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