心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の効果として新たな研究結果が発表されました。New England Journal of Medicineという臨床医学の中では最も権威のある医学雑誌で、信頼性が非常に高いものです。
研究内容は心臓が収縮する能力は心駆出率というもので表されます。例えば、100ccの血液を溜め込み、70ccの血液を送り出すことができたならば、心駆出率は70%となります。正常の心駆出率は55〜75%です。この心臓の収縮能力が低下し、少しの労作でも息切れを自覚する状態を心不全と言います。心不全になると多くの患者さん(50%以上)が経過中、心房細動を合併します。一旦、心房細動を合併すると、死亡率が約2倍に上昇します。心不全の患者さんに合併した心房細動をどのように治療するかということは、長い間問題になっていました。
心房細動を伴った心駆出率が35%以下の重症心不全の患者さんを、心房細動をアブレーションで治療する179人と、薬物治療を行う184人の2群に分けて、アブレーション治療と薬物治療の優劣を競い合いました。約3年の経過観察で、死亡もしくは心不全が悪くなり入院する患者さんの割合はアブレーション群で28.5%、薬物療法群で44.6%でした。つまり、アブレーション治療をすると、死亡、入院する可能性が薬物治療の60%に減少するということです。
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