2012年7月17日火曜日

心房細動アブレーション適応

別に示したように日本循環器学会から心房細動治療の新しいガイドラインが発表されました。薬剤に抵抗性のある発作性心房細動は、年間の心房細動アブレーション症例数が50症例以上実施している施設でカテーテルアブレーション治療を施行する場合、クラスⅠとなりました。クラスⅠというのは、その治療を実施した方が望ましいということです。

やっとアブレーション治療がクラスⅠに昇格したという思いです。では、持続性心房細動や慢性心房細動はどうなのか?これらはまだクラスⅡです。アブレーション治療を実施した方が、良いか悪いかはまだ良くわからないということです。

そこで、心房細動アブレーション治療の適応について私の考え方を簡単に説明します。これは合併症を伴いうる手術であればすべてに当てはまることです。つまり、アブレーション治療を実施して、成功裏に終わった時に患者さんが得られるメリット(利益)と、治療を実施することでもしかしたら被るかもしれないデメリット(不利益)を、しっかりと天秤にかけるというこです。利益の方が随分重いと判断した場合に、アブレーション治療を受けたほうが良い。利益と不利益は患者さんの状態により変わりますし、どちらが重いかは患者さんの価値観によっても変わってきます。利益は主に「動悸が改善する」「脳梗塞や心不全のリスクを遠ざけることができる」「ワルファリンが中止できる」等で、不利益は「合併症」ということになると思います。

医者も同様に、患者さん毎に、利益と不利益をはかりにかけています。その時の医者の考えは、患者さんに伝えますが、その考えを押し付けるわけには行かないので、最終的な判断は患者さんご自身でなさるということになります。この利益と不利益について、ご自身で良く判断できないかたは、一度ご相談ください。

患者さん毎に、アブレーション治療による利益と不利益を天秤にかけ、利益の方が重いと判断した時にアブレーション治療の適応となります。これは私の考えであり、すべての医者が同様の考えかどうかは不明です。

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