2016年1月13日水曜日

高血圧治療について 薬を飲む前にまずやるべきこと 野菜を食べよう

血圧が高い人に、しっかりと食べて欲しいものがあります。それは野菜です。

野菜にはカリウムが多く含まれています。野菜を摂って血液中のカリウム濃度が上昇すると、体は細胞の中にカリウムを取り込みます。その際、カリウムの交換として細胞内のナトリウムが血液中に放出されるのです。血液中のナトリウムが増えると、腎臓でのナトリムの再吸収が抑制されて、尿中へのナトリウムの放出と共に利尿がつき血圧が下がるのです。特に食塩感受性高血圧の人ほどこの野菜の降圧効果は明らかです。

また、野菜は食事の最初に食べてしまうことをお勧めします。野菜だけ完食してしまうのです。主食の糖質によって引き起こる過剰な血糖上昇を抑制し、ダイエット効果もあります。カリウムが多く含まれ、スーパーでよく売られて、なおかつ、満腹感の大きい野菜は、トマト、カリフラワー、キャベツなどです。

私も朝夕に山盛りのサラダを食べています。濃厚な高血圧家系の一員ですが、正常血圧を維持できています。尚、腎臓が悪い患者さんやワルファリン内服中の患者さんは、野菜の摂取を制限する必要がありますのでご注意ください。

野菜を切るのが面倒な人でも大丈夫です。
今は本当に良い時代、コンビニでカットキャベツもミニトマトも安くで売られています。








2016年1月11日月曜日

高血圧治療について 薬を飲む前にまずやるべきこと 減塩について

我々の施設で診療している心房細動患者さんの実に6割は高血圧を合併しています。高血圧は心房細動の3大原因の一つの心臓病の中に分類されるので、高血圧を治療することは、心房細動の発症予防、もしくはアブレーション後の再発予防につながります。

高血圧を認めたならば、薬を飲む前にまずやらなければならないことがあります。それは減塩です。日本人の約半数は食塩感受性です。食塩感受性とは、摂った塩分を尿に排出せずに、体の中にため込む性質です。この性質を持った人は、血液中の高くなった塩分濃度を下げるために、飲水量は増えますが、尿量は減少します。結果的に体の総水分量は増加するのですが、それを収納する血管の容積は変わらないので、血圧が上昇するのです。

日本人の平均食塩摂取量は10g/日で、摂取塩分の9割は、しょうゆと味噌の食物加工品由来です。自分が一日どの程度の食塩を摂取しているのかは、尿検査で推定可能です。尿中のNa/Cr比を測定し計算します。一般の病院でできる検査ですので、現在の自分の状態をご存知になりたい方は、かかりつけ医に相談されると良いでしょう。

また、食物にどの程度の塩分が入っているのか。とても便利なツールがあります。汁物であれば、その食事に含まれる塩分量を計測できる塩分計です。患者さんのお一人が紹介してくれました。塩を余り使わなくても、ダシを上手く使うことでおいしく料理をつくることができると言われていました。


高血圧治療で薬以外の方法でどの程度血圧が下がるかを示したグラフです。減塩、DASH食(野菜、果物)の摂取、減量、運動、節酒が重要です。出典 高血圧治療ガイドライン 2014。




2016年1月10日日曜日

心房細動のメカニズム

正常に脈拍が打つとき、心臓の中で電気刺激を出す司令塔は、右心房の洞結節という部分です。そこは1分間に50〜100回の頻度で規則正しく興奮しています。

心房細動の3大原因は加齢、心臓病、飲酒です。それによって心臓にストレスがかかると、心房に傷ができてしまい、その傷が心房細動起源になるのです。この起源は1分間に500〜600回という高頻度で興奮します。洞結節よりこの心房細動起源の興奮頻度が早いので、心房の興奮は心房細動起源に支配されてしまうのです。

心房は全体としては、この早い興奮についていけず、心房の各所が無秩序に、統制なく、てんでバラバラに電気興奮します。しかし、心房と心室の間にある房室結節という部分は、ゆっくりとしか興奮できないので、心房の高頻度興奮の一部分だけを心室に伝えます。そのために、心室は心房細動のときでも、50〜200回/分程度の興奮でおさまるのです。もし、この房室結節がなければ、心房細動時は心室も高頻度に興奮し、容易に心室細動になることでしょう。実際、非常に稀ですが、房室結節の伝導能力が良すぎると、心房細動から心室細動に移行する人もいるくらいです。

心房細動の治療とは、薬もしくはカテーテルで、この心房細動起源を、抑制、もしくは焼灼することに他なりません。

心房細動のメカニズム