当院でも以前、75歳以上の患者さんの105人を調べた所、手術成功率は93%、合併症は心タンポナーデが1例発症したのみでした(1)。その心タンポナーデの患者さんも、心嚢ドレナージを実施すると出血はすぐに停止し、予定より2日入院期間が伸びましたが、元気に退院されています。
自覚症状のある心房細動患者さんに、アブレーションの年齢制限はありません。アブレーションにより、自覚症状は消失もしくは軽減しますので、アブレーションを実施するメリットは明らかです。では、自覚症状の無い、あるいは乏しい高齢の心房細動患者さんはどうなのか。
カテーテルアブレーションを実施したことによる脳梗塞予防効果は数年で現れきます。つまり、アブレーションを実施していない心房細動患者さんに比べ、アブレーションを実施した心房細動患者さんの方が、脳梗塞発症率が低いという差が明らかとなってくるのが、アブレーション実施数年後という意味です。平成22年の厚生労働省の発表によると、平均余命は80歳の方で男性8.6年、女性11.6年、90歳の方で男性4.4年、女性5.8年でした。脳梗塞予防効果発現年数とこの平均余命を考慮すると、自覚症状の無いもしくは乏しい90歳の方でも、心房細動アブレーションによる脳梗塞予防効果の恩恵を被ることができる計算になります。しかし、実際には年齢だけでは、片付けられない他のリスクもあるので、お悩みのご高齢の方は是非当院にお越しいただき、診察をお受け下さい。
アメリカの施設から発表されたデータです。Group 1 (80歳以上)とGroup 2 (80歳未満)では、手術成功率に変わりありません。 参考文献 (1) Kuwahara T, et al. Japanese Journal of Electrocardiography 2011;31:3 |
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