2013年12月17日火曜日

心房細動の誘発方法

心房細動カテーテルアブレーションとは、心房細動の起源を探して、そこにカテーテルの先端を接触させ、高周波の電気を流し、局所的な火傷を作って、心房細動を起こさせないようにする方法です。そのためには、アブレーション中に心房細動が起きなければなりません。日頃から頻繁に出ているわけではない心房細動をどのようにして起こさせるのか?

イソプロテレノールというお薬を使うのです。ただし通常量ではダメで、高用量必要です。この薬を使用すると、心房の活動性が増し、約9割の患者さんで、術中に心房細動が誘発されます。

当院では、以前までは1例1例、しっかりと術前にイソプロテレノール負荷を実施し、心房細動の起源をしっかりと突き止めてからアブレーションを実施していました(1)。その時に突き止めた、70例の患者さんの心房細動起源が下図です。

ご覧になればお分かりのように、以前書きましたが、フランスのハイサゲール先生の言ったとおり、心房細動起源の85~90%は肺静脈由来であることが判明しました。また、この研究で、7~8%の患者さんでは上大静脈から心房細動が発症していていることも判明しました。そこで最近は、心房細動起源の巣窟である肺静脈と上大静脈を取り囲むように焼灼することで、電気的に隔離し、その後、イソプロテレノール負荷を実施して、それ以外つまり非肺静脈、非上大静脈由来の心房細動起源を探して、各個撃破で焼灼治療しているのです。
イソプロテレノール負荷で判明した、心房細動起源です。多くの心房細動起源が肺静脈(LSPV、LIPV、RSPV、RIPV)や上大静脈(SVC)に由来していることが分かります。
参考文献 (1) 桑原大志 高用量イソプロテレノール投与法 心房細動カテーテルアブレーション メディカルビュー社 


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