2015年12月4日金曜日

クライオアブレーション 新しい心房細動の治療方法

クライオアブレーションという心房細動の新しい治療方法が使用可能となりました。直径が28mmのバルンをマイナス50度に冷やし、肺静脈に入口部に押し当てそこを壊死させ、肺静脈を隔離する方法です。当院では1年前から使用し始めています。

人の組織はマイナス4度になると凍傷が起こり始めます。この方法では肺静脈入口部を一気にマイナス50度まで下げるのでバルンに接触した心筋はあっという間に壊死してしまいます。肺静脈を隔離するのに、従来の高周波アブレーション方法では1本当たり5分程度かかっていましたが、クライオアブレーションでは早い時には30秒で済んでしまいます。

では治療成績はどうなのか、発作性心房細動患者を均等に2群に分けて高周波アブレーション法とクライオアブレーション法を実施した場合、1年後に心房細動が治癒している人は両群とも85〜88%でほぼ同等でした(1)。クライオアブレーションの利点は、手技が簡便なため、術者にとって技術習得に時間を要しないということ。欠点は肺静脈しか治療できないことと、横隔膜麻痺という合併症が一定頻度(5〜10%)で発症してしまうことです。

心房細動の原因は、肺静脈以外にも10〜15%存在します。そういうところは、カテーテルを使用し、高周波アブレーション法で治療するしかありません。私にとっては、高周波カテーテルアブレーションは”刀”、クライオアブレーションは”爆弾”の様なものです。”刀”は自由度が高く、自分が動きまわることにより、対象がどこにいようが倒すことができるので、技術を磨く楽しさがあります。爆弾は威力があり殺傷能力は高いものの、使用する際に余り魅力を感じません。患者さんにとって不謹慎かもしれませんが、手術をしていて楽しいのは従来通りの高周波アブレーション法です。

バルンに液体窒素に流入しバルンをマイナス50度まで冷却します。肺静脈入口部を閉塞させて壊死させます。
参考文献
(1)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25186456

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