2015年12月6日日曜日

「新しい血液サラサラの薬がでましたけど、これに変えますか?」

ワルファリンを内服している心房細動患者さんと担当医の外来診察室での会話です。
患者:「野菜を摂る量が不足しているのですが、少しなら食べてもよいですか?」
医師:「では、新しい血液サラサラの薬がでましたが、これに変えますか?」
患者:「それに変えると、野菜を食べても良いのですか?」
医師:「はい、野菜はもりもり食べても構わなくなりますが、ちょっとお値段が・・。」

心房細動は脳梗塞を合併しやすい。その予防薬は、1962年から50年間このワルファリン一剤しかありませんでした。ワルファリンの問題は、1)ビタミンKを多く含む食物(納豆、ブロッコリー、緑黄色野菜)の摂取を制限する必要がある、2)1年間に100人中1人脳出血、消化管出血などの重大出血性合併症を起こす人がいる、そのために3)定期的に採血して効き目を確認する必要がある、ということです。

そこで、2011年にワルファリンに変わる新規経口凝固薬(NOAC=ノアック)のプラザキサが発売されました。それから現在に至るまで、合計4つのNOACが出そろいました。NOACすべてに共通する特徴は1)食事制限の必要がない、2)値段が高い(一日当たりの保険がきいていない値段:NOACは546円、ワルファリンは3錠で19円、実に19倍)ということです。下のその4つの薬の比較表を出します。

ワルファリンとNOAC、どちらを選ばれても、脳梗塞予防効果の差はほとんどありません。ちなみに今日本で一番売れているNOACはエリキュースです。その理由はワルファリンよりも効果と安全性の点で、優れていることが示された唯一の薬だからです。しかし、NOAC4つの薬をそれぞれで比較しているわけではないので、4つの中で最も良い薬と言うわけではありません。

各薬剤がそれぞれ心房細動患者の脳梗塞の予防の効果と安全性について、ワルファリンとの比較試験を行いました。⇔はその項目の発症率がワルファリンと同等、↑はワルファリンより多い、↓ワルファリンより少ないという意味です。それぞれの試験の対象となる患者さんの背景がことなるので、各薬剤ごとの比較にはなりません。








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